えっちするとすぐ出て行くレノさん / レノクラ / 文庫ページメーカー
いつもレノは出て行く。
機嫌が悪かったり抵抗したりすると殴ってまで大人しくさせて自分を抱いていくレノは、そこまでしておきながらことが終わるとさっさと部屋を出ていくのだ。たいていは消耗した自分だけが一人で朝を迎え、店に帰るか仕事に行く。
だがその日はなぜか違った。一度閉められた扉がしばらくしてまた開く音を、クラウドの耳が捉えた。まさか鍵を閉め忘れて誰か入ってきたのだろうか、いやこの足音はレノのそれだが財布でも忘れたんだろうかと思っていたら、赤毛のタークスがのしのしと部屋に入って——いや戻ってきた。
今までずっとそんなことはなかった、いつも一人のはずだったのにどうして今日はこうなってるんだ、と混乱しながらもレノの姿を目で追うと、彼は手に持っていたビニール袋をテーブルに置き、そして「ん」と手招きをしてくる。ぼーっとそれを見ていたら、それまで無言だったレノがようやく口を開いた。
「ベッド出て、こっち来いって言ってんだよ。服着なくて良いから」
「……」
「早く。夜があけちまうぞ、と」