もりびとたち

リブクラ / アバランチ組 / pixiv

 ——穏やかな初夏の日だった。
 午後の予定を早々に終えたリーブ・トゥエスティは、その日最後のタスクを片づけるため、端末の電源を落とした。
「後はよろしくお願いします」
「はい、了解しました。お疲れさまです。……お気をつけて」
「ええ」
 会釈する秘書官に頷きを送り、リーブは執務室を後にする。出口で待っていたWROの護衛官に「行きましょう」と告げて、日の光が廊下を鮮やかに彩る廊下を歩き出した。
 リーブの次の目的地は、WRO本部からは少し離れた場所にある。数少ない、自然に囲まれた静かな場所には、リーブ、そして星にとってかけがえのないものが、丁重に、そして厳重に収容されていた。
 人の賑わいはほとんど感じられない、木々に囲まれた駐車場から降りると、リーブの視界に大きな車体が映った。今となっては旧型のWRO専用装甲車——シャドウフォックスだ。ただ、物々しい武装は最小限まで取り外され、後部のコンテナは丸ごと、窓がついた居住兼乗車スペースに付け替えられている。
「いらしてるんですね」
 リーブの視線を追って、護衛官が言った。
「そうですね、ありがたいことです。……行きましょうか」
「はい」
 その建物は、一見してカームにあるような、煉瓦と石の壁で作られた柔らかな印象を与える建造物だった。富豪が道楽で建てたアパルトメント程度にしか見えないその建物は、WROが管轄している建物の中でも、最高の警戒レベルをもって管理されて居るものだとは到底思われないだろう。だが、エントランスから一歩入れば、そのモダンな様相は一変する。白を基調にした清潔な室内、威圧感は与えない、しかし無駄のない配分で天井で目を光らせる監視カメラ、そして数は少ないが忙しく行き交う研究者たち——そこはまさしく、WROの誇る研究施設だった。
 行き交う職員や研究者たちから会釈を受けながら、リーブはその施設の奥を目指す。
 二つ目の扉を静脈認証で開けると、両脇の護衛達が静かにその扉の両脇に立った。彼らはここから先には入れないのだ。
 先ほどのフロアからはぐんと人が減った、静かな廊下を進んだその奥には、半分ほど開け放たれた扉が見えてくる。
「——こんにちは」
 扉から吹き抜ける、さわやかな緑が薫る風を受け止めながら、リーブは部屋へ顔を出す。
「お久しぶりです。お二人とも」
「ひさしぶり」
「おう」
 それまでの内装とは一変した、ごく普通の民家の寝室のような、生活に必要な家具がすべて整えられ、フローリングが敷かれた部屋の中で、かつてともに世界を救った仲間二人がリーブの来訪に気づき、笑顔で返事を寄越してくれた。
「今日はもういいの?」
「ええ、あまり重要な案件もありませんし、部下に任せてきました」
「あの兄ちゃんか。しばらく見ねえ内にだいぶ頼もしくなったよなあ」
「鍛えましたからね」
 上がり口で靴を脱ぎ、室内用のスリッパに履き替えると、綺麗に磨かれたフローリングをぺたぺたと歩く。今お茶淹れるわねというティファの一言にお構いなくと返しながら、窓際に置かれたウッドフレームのベッドに近づいた。
「かなり落ち着いてるぜ。戻る様子もねえし、成功って考えて良さそうだ」
「そうですか」
 バレットから場所を譲ってもらい、リーブはベッドに横たわる『それ』をのぞき込む。
「……お久しぶりです。あまり来れなくてすみません」
 返事はなかった。だがそれは分かり切っていたことだ。
 リーブは、窓から吹き込む風に遊ぶ金髪に優しく指を滑らせる。白い額、こめかみへと指を滑らせて、ほとんど陽に当たっていないせいか透き通るように白くなった頬を包んでようやく、リーブはその美しい人形になった青年の名前を呼んだ。
「クラウドさん」

 ***

 星を二度救い、神を三度殺した英雄、クラウド・ストライフが、自殺未遂で初めてWROにかつぎ込まれるようになったのは、最後の再臨からおよそ三年が経ってからのことだった。傷はすぐに塞がったが、彼の心の傷は塞がるどころか、生き残ってしまったという悲嘆に染まってより深く傷ついていた。
「俺はいちゃいけない」
 駆けつけたリーブが誰何した時、クラウドはそう答えた。
「ここにいちゃいけない。いたらまたあいつが来る」
「セフィロスですか」
「あいつは俺を核にしてる。だから俺が死ななきゃ、セフィロスは何回だってやってくる」
 だから死ぬ、殺してくれ——リーブの最愛の人は、拘束衣で雁字搦めにされ、鎮静剤で半ば朦朧としながらも、舌を噛み切る力すらない口で、そう懇願した。
 普段のかわいらしいおねだりだったら、はいはいと叶えているところではあるが、今回ばかりはできなかった。確かに今のリーブは、その双肩に星と人類の命を担っている。だが、リーブ・トゥエスティは、WRO局長である前に一人の男でもあった。絶望し、世界のために自らを差しだそうとする青年を、そうですか、などと言って死なせることなどできなかった。答えは決まっていた。
「そんなことさせません」
 ——人一人守れないで何がWROですか。
 そう言い切ったリーブを、クラウドはただ悲しげな瞳で見つめて、直後意識を失った。

 それからは、ありとあらゆる手段を尽くした。クラウドの体内に残るジェノバ細胞を非活性化させる試みはその最も初期に行われたものだ。だが、それは早々に頓挫した。ジェノバ細胞はすでにクラウドの身体に適応し、そしてクラウドの身体自体も、ジェノバ細胞を身体の一部として認識しており、いざ抑制しようとすると、ひどい拒否反応の後衰弱してしまったからだ。さらにまずいことに、クラウドはかつて受けていた致命傷を、宝条の処置で植え付けられたジェノバ細胞で回復させている。その部分の細胞が非活性化したら、かつての古傷もまた口を開けてしまう可能性もあった。
 忌々しい、とリーブは思った。この期に及んでなおも、セフィロスがクラウドを縛り続けているように見えたからだ。その後の計画もことごとく失敗に終わった。その間、再臨はなかった。まるでリーブ達の試みをあざ笑っているかのようだった。すべて失敗した頃に現れるのだろう、とクラウドは五回目の緊急処置を受けた後に言った。その口調には迷いが無かった。

 手詰まりになりかけた頃、クラウドの言ったとおり、二度目の再臨が起きた。
 以前の星痕のような前兆はなかった。唐突にセフィロスが現れた。だが、それはクラウドに代わり、かつての英雄たちが力を合わせることで、再び星に還すことができた。前線に立っていたWRO隊員など、被害はゼロとは言い難かったが、それでも以前のような犠牲者が生まれなかったのは幸いだったといえる。
 そして何より、クラウドを生かすための重要な手がかりが増えた。
「——まだあれを手放そうとしないのだな。あれが覚えている限り、私は何度でも蘇るぞ」
 それは、クラウドの生死ではなく、クラウドの記憶そのものが核であると解った瞬間であり、そしてにわかに持ち上がっていたクラウド・ストライフ抹消案を打ち消すことができる有益な情報でもあった。
 戦いが終わって心身ともに疲れ果てていても、その日のリーブは休むことなく、すぐにWROへ——正確には、WROが管理する施設に収容されていたクラウドに会いに行っていた。英雄が再臨したその気配は、直接会わずとも感じ取っていたのか、青白い顔でベッドにうずくまっていたクラウドは、リーブの顔を見るなり「ばか」と言った。何かあったらどうするんだ。何で俺をおいていったんだ。腕の中で泣きじゃくるクラウドを抱きしめ、宥めながら、リーブは今し方思いついた計画を話した。
「セフィロスのことを忘れましょう、クラウドさん。忘れてしまえばいいんです」

 ***

 この世界には、結構な確率で「異能」と呼ばれる特殊な力を持った人間が生まれる。リーブの——トゥエスティの家系、特に母方の血筋は、その「異能」を持つ人間が生まれやすい系譜だったらしく、リーブ自身も、母親も、特殊な力を持っていた。
 この計画は、そのリーブの力に依って成立するものだった。無機物に命を吹き込むインスパイア、これは有機物に対しては、心の中に潜り込み、操る能力へと形を変える。
 彼らは——戦役の英雄たちは、クラウドの心の中から、セフィロスの記憶をすべて消し去ることを決めた。大至急ブリーフィングと、そして何回かのシミュレーションを行ったあと、それは実行に移された。
 初めて入り込んだクラウドの心の中は、淡く優しい緑色に彩られた、幻想的な世界だった。その世界の中に、丸みを帯びた白い足場が浮島のようにあちらこちらに浮いている。ひときわ大きく丸い足場に降り立つと、まるで待っていたかのように、一人の少年が空間ににじみ出るように現れた。
 後ろに束ねた金髪、幼いながらも均整のとれた顔立ちは、現実世界のクラウドの面影を色濃く残している。瞳の色はわずかに色合いが異なり、冬のよく晴れた空のように透き通った色を湛えているが、リーブにはすぐにその少年が、クラウドの幼少期の姿であること——そして、ティファが言っていた、クラウドの心の中にいる『もの』であると解った。
「来たんだね」
 少年は、見た目に似つかわしくない大人びた言葉遣いだった。
「はい。あなたがクラウドさんの心の護ですか」
「そんなすごいものじゃないよ。一番根っこに近いところにいるのがおれなだけ。……入ってきた人の目的によっては、おじさんが言ったような仕事もするけど」
「……」
「そんな顔しないでよ。今回はクラウドから聞いてる」
 リーブの緊張を感じ取ったのか、にっ、と少年は笑顔を浮かべた。
「それに、おじさんこういうところじゃ、結構やるでしょ。ヘンにやり合ってクラウドに何かあったら大変だし、おれは何もしないよ」
 そう言うと、少年はくるりと背中を向けた。その視線の先には、写真や資料で見た記憶のある村の入り口が、まるで蜃気楼のように浮かび上がっている。
「案内するよ。どれを壊せばいいのか、教えてあげる」
「ありがとうございます。……そして、すみません」
「おじさんが謝ることじゃないよ。クラウドから聞いてるって言ったでしょ」
 こっち、と先導する幼いクラウドについて行きながら、リーブはその浮島を歩く。
 だが、村の入り口にさしかかったところで少年の足が止まった。
「これから思い出を壊すんでしょ」
「ええ」
「じゃあ、一つだけおれから言うけど。……思い出って、何がどうつながってるのかわからないんだ。一つを壊しただけで他のものがたくさん壊れるかもしれないし、全部壊したと思っても、別のところからまた出てくることもある。おじさんが向こうに戻ったとき、クラウドは、壊した思い出のせいでおじさんのことを覚えてないかもしれない」
「……」
「それでもいい?」
 澄み渡る青がリーブを見上げる。おそろしく透き通った瞳は、リーブの何もかもを見通してしまうようだ。
 だがリーブはためらいなく頷いた。
「クラウドさんを守るためですから」
「……わかった。じゃあ、ついてきて」
 少年はまたその小さな背中を向ける。
 向かう先は、小さな民家だった。

***

 結論から言って、その処置は成功した。
 目を覚ましたクラウドは、セフィロスのことを何も覚えていなかった。さらに、自分がどうしてWROの施設にいるのかといった経緯も——そして、心の中の少年が言ったとおり、セフィロスの記憶と密接に関連しているものごとも忘れていた。
 顕著なもので言えばエアリスだ。セフィロスに殺された、ということがよほど強く心の中に焼き付いているらしく、彼女の存在はクラウドの記憶から消えてしまっていた。
 あの戦役から皆が着けているリボンを見て、「それ、何だ?」と聞いた瞬間、自分が——自分たちが何をしたのかを痛感した。
 ここにいる経緯は予め作っておいたカバーストーリーで何とかなったが、まさかあれほど大きな存在を忘れることになるとは思わなかったため、リーブは一瞬狼狽えた。だが、それをすかさずフォローしてくれたのはティファだった。彼女は不思議そうな顔をするクラウドに笑いかけ、そして聞いた。
「今流行ってるおまじないなの。クラウドもつける?」
「……着ける」
「じゃあ明日持ってくるね」
 ありがとう、とクラウドは笑い、そしてティファも、リーブも笑った。

 それからしばらくは、実に穏やかな日々が続いた。歩けない、と暗示をかけられたクラウドは、基本的にベッドの上で本を読んだり、ティファやバレットと話をして過ごしていた。時折リーブが顔を出すと、それは嬉しそうな顔をして「お疲れ」と言ってくれた。リーブのことを覚えていたのは奇跡とも言えたし、リーブ自身その奇跡に感謝していた。
 だが、一ヶ月ほど経った後、クラウドはまた自らの命を絶とうとした。シーツは真っ赤に染まり、緊急処置が行われ、そして再び、リーブはクラウドの心の中に入ることになった。
「言ったでしょ。どこでつながってるか解らないって」
 いずこからか新たに生まれ出た英雄の残滓を踏みつぶすリーブを見やりながら、少年は言った。
「おじさん、また来ることになると思う」
 そして、聞きたくない予言を残して、再び宙に掻き消えた。

 ——それから、少年の言うとおりになった。
 よほど深いところに根付いているのか、それとも周囲の懸念をジェノバ細胞が読みとってしまっているのか、クラウドは何度もセフィロスを思い出しては、命を絶とうとした。リーブ達はその都度阻止し、記憶を消した。度重なる改変や消去で、クラウドの思い出はほとんど無くなり、そして自我も退行していった。しまいには、リーブだけではなく幼なじみのティファや付き合いの長いバレットのことすらも忘れてしまった。『処置』が終わると、見知らぬ場所に怯えきったクラウドに、まず二人が自己紹介をすることから始まるのが通例になった。
「……人って、なんてたくさんのものをしまってるんだろう」
 幾度目かの緊急処置ののち、眠るクラウドの手を握りながら呟かれた一言は、かつて彼女が言った言葉とは全く逆の意味合いをもって部屋に響いた。
「もう、……もう、覚悟、決めなきゃいけないのかもしれない」
「……そうだな」
 壁に背中を預け、腕組みをしていたバレットが頷く。
 リーブは何も言わなかった。

***

「——ねえ、わたしたちね、クラウドのこと大好きなの」
 それは春の終わりだった。 
 ティファは、ベッドの上で、きょとんとした顔をするクラウドの手を優しく握り、そう言った。
「だからね、あなたには、生きてほしいの。死んでほしくないの」
「ティファ、どうしたの、泣かないで」
「うん、ごめん、ありがとう、ごめんね」
 クラウドはただ心配そうに、突然泣き出したティファの顔をのぞき込んでおろおろしている。本当に優しい子なのだろう。かつての彼の奥底にあった優しさと同じその仕草に、リーブはただ唇を掻む。
「なあ、クラウド。恨むんなら、俺たちのこと、いくらでも恨んでいいからな」
 そして、バレットがその大きな左手で、クラウドの頭をわしわしと撫でる。いつもよりも優しげなその動きとは正反対の言葉に、クラウドはまたも不思議そうな顔をした。
「なんで? おれ、ティファとバレット、大好きだよ」
「ごめんな、ごめんなあ」
「どうしたの? なんであやまるの? なにも悪いことしてないのに」
 そろそろだ——と、リーブは思った。これ以上引き延ばしてしまうと、クラウドがさらに不安がってしまう。
「……バレットさん、ティファさん、本当によろしいんですね」
 卑怯な言葉だ、とリーブは思った。まるで二人に責任を押しつけるかのようだ。
 だが、ティファとバレットはただ頷いた。
「ええ、お願い」
「怖くねえからな、ここにいるから。ずっと一緒だからな」
「こわいことするの?」
「大丈夫、何も怖くありませんから。ちょっと眠たくなるだけですからね。ほら、ケットも一緒にいますよ。抱っこしましょうか」
「どもー。失礼しまっせ」
 ぴょこんと飛び乗ってきたケットを両腕で抱えたクラウドは、わずかに不安と恐怖を滲ませた顔をリーブに向ける。

 それが、リーブの見た最後の「クラウド・ストライフ」の表情だった。

***

 クラウドの中から全てを消し去って二週間の、穏やかな夏の入り。
 何もかもを空っぽにしてはいたが、万が一ということもある。ある程度時間が経った頃合いで、何も残っていないことを確認するために、リーブは再度クラウドの心の中に潜った。
 かつて優しい世界をたたえていた空間は、ただただ真っ白だった。インスパイアで潜り込む無機物の、命を与える前の状態のそれと同じだ。オーロラのように彩りを変えていた空も、浮島も、そして小さな村の入り口もない、真っ白な空間だった。心の護であった少年もいない。リーブ自身が消したからだ。
 リーブはその白い世界を歩く。不純物がないことを確認しようと、ぐるりとあたりを見渡し帰ろうとした矢先、視界の片隅に白以外のものがひっかかった。
(……なんでしょうね)
 消し忘れだろうか、それとも新たに生まれ出てきたものなのか——と、リーブはその「何か」に近づく。ゆったりとした歩みは、それに近づくにつれ早歩きになり、次第には小走りになった。
 その「何か」は、ひとまとまりに置かれていた雑多なものたちだった。黄色い花、手裏剣、薬莢、吸い殻、コレル酒の瓶、吸水塔の小さな模型、そして、王冠とマントをかぶった猫のぬいぐるみだった。
「……」
 リーブはそれを、一つ一つ丁寧に壊していった。最後に猫のぬいぐるみを抱き抱えると、一瞬だけ迷い、他のものと同じように壊した。
 ぱらぱらと破片が両手からこぼれ落ち、真っ白な地面につく前にきらきらと消えていく。きっとあれは、クラウドが最後の最後まで守ろうとしていた、仲間たちの思い出なのだろう。
 だが、それもすでに消した。何か一つでも残っていたら、クラウドはセフィロスのことを思い出してしまう。それに、クラウドを守るために何でもするという覚悟は、もはや揺らぐことはなかった。
 改めてその世界を一瞥し、何もないことを確認すると、リーブは現実世界へと意識を戻す。
 ティファとバレットは、気分転換も兼ねて足りなくなった日用品をそろえるために出かけているため、部屋にはリーブとクラウドの二人だけだった。時折強く吹く風にカーテンがはためく音以外は聞こえない、静かな空間だった。
「……お疲れさまでした、クラウドさ——」
 リーブの手がついと伸びる。
 だが、その手が触れたのはいつもの金髪ではなく、その白く透き通った頬だった。
「ぁ、あ、クラウドさん、……クラウドさん」
 喉から絞り出された声は情けなく震えていた。頬に添えた指をわずかに動かし、美しい目尻を撫でる。
 クラウドは泣いていた。ただ動きのない表情から、涙をこぼしているだけではあったが、この二週間泣くことすらしなかったクラウドの両目からは、ぽろぽろと滴が伝い落ちていた。
 これが最後の涙なのだろうと理解した瞬間、リーブはただ、クラウドに縋り、泣いていた。

三度の飯が好き

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