太陽みたいなバッツ君 / バツクラ / 文庫ページメーカー
太陽のような、という形容詞がこれほど似合う男も珍しい。いつも笑っているようなものだが、にぱっと思いっきり笑ったときの笑顔は周囲が明るくなったかと錯覚するほどで、クラウドにとってはまぶしい以外の感想が浮かんでこなかった。正直なところ今もそうだ。かわいい、かっこいい、などの感情が割り込んではいるものの、やはり一番最初に来る感想は「まぶしい」だった。
「そんな、人をなにかの魔物みたいにさあ」
ぷすー、と唇をとがらせるバッツに、クラウドは苦笑を滲ませながら「すまない」と謝った。
「だってまぶしくて」
「光り物つけんのやめようかなあ」
「それが光ってる訳じゃないから意味ないと思うぞ。正直今でもちょっと」
「まぶしい?」
「ああ」
「まじかー。じゃあしょうがねえな」
バッツはまたにっと笑うと、わしわしとクラウドの頭を撫でてきた。子供相手にするようなそれにちょっとむっとしたが、手のひらの暖かさと本人の楽しそうな顔に何も言えない。
「おれがお日さまなら、クラウドはお月さまだな」
「そんなたいそうなものじゃないよ」
「いやいや、もっと自信持ちたまえよクラウド君。おれにとっておまえはそういう、綺麗でずっと追いかけたいもんなの。だからもっと胸張っていいんだぜ」
そんなこっぱずかしいことを言いながら、バッツはその手をクラウドの裸の胸に這わせてくる。そういう意味か、と言ったら、「半分はそういう意味」と灰色の混じった瞳が細められた。
「太陽に抱かれる月ってのも悪くないだろ」
「……ロマンチックだな、あんたの割に」
「惚れ直した?」
「まあちょっとは」
どちらからともなく唇を重ねて、二人はそのままシーツの海に沈む。
「あ、そうだ。目隠しするか? まぶしくないように」
「今度な。今はあんたを見てたい」
躊躇いなくまっすぐ言いはなったら、それまで余裕を見せていたバッツの顔が僅かにこわばった。
「おまえ、たまにすごいこと言うよな」
「惚れ直したか?」
「当然だろ、今この瞬間だって惚れ直してるぞ。好き、大好き、超愛してる」
「じゃあ沢山抱いてくれ」
その言葉に応えるように、太陽の男の腕が身体に回された。かっと身体が熱くなり、すぐになにもわからないようになってしまう。
結局二人が眠りについたのは、本物の太陽が空に上り始めた頃だった。