壁と背中と伊達眼鏡

これのつづき 最近読んだものに影響されます なろう系っていうんですけど  まただ。またこうだ。またこの光景を見ている。 ぼやけた視界の中で喉を灼きながら、浅い呼吸を繰り返す。もうだいぶ前に持っていられなくなった魔道書は足…

しりもちの日

初めて会ったときの話 お腹がすいたときに書きました 「わぷぅ」 突然鼻が潰された。予想もしなかった衝撃にたたらを踏み、そのままべったんと尻餅をつく。腕に抱えたカーバンクルがギィと文句を言ったのが聞こえたが、尻から伝わって…

孵卵器は雛を抱く

本当に最初の頃の話 モブのおにいさんと 「なんで?」 それは単純な疑問だった。皮肉でも挑発でも嘲りでもない、ただただ純粋な疑問。氷が溶けたら水になることを初めて知った子供がするような、純粋な問いかけ。未だ子供と言っても差…

空のふわふわ

エタバン後 いつぞやの進路に悩んでいたモブが遊びに来たよ Q. むーたんは離れると消えるのでは? A. 細けぇことはいいんだよ  曰く、巴術はありとあらゆる自然現象を算術で表現する学問である。 曰く、巴術士は宝珠の神秘を…

冬の終わり

帝国if 片付いた後片付けに来たよ 春の兆し  帝都の冬は寒い。見栄っ張りの貴族の鼻がもげた昔話があったが、帝国の民はそれが実話だと身をもって知っている。実際、外に出している箇所はすべからく刺すような痛みに襲われるから、…

おっさんの奮闘 秘密(?)の戸棚を見つけたよ  呼吸を止めて一秒、真剣な目をして目前の錠前を睨む。これほどまでに表情筋が引き締まっているのは獣の討滅以来かもしれない。とにかく今のシルヴァは元気いっぱいに真剣だった。「むむ…

雨雲と細波

通り魔のアレコレのさいしょのやつ 書きたいトコだけやって満足した 「——またか」 リムサにしては珍しく、しとしとと控えめな雨粒が水面を叩いていた。波音に混じる奥ゆかしい雨音を聞きながら足元の水面を見下ろし呟くと、傘を差し…

ごむまりララフェルと裏帳簿

リムサについてからちょっとしたぐらいのころ ぽぽちゃんにはいつもお世話になっております 「おはよう!! 今日もかわいいねえ!!」 勢いよく開け放たれた扉と一緒に飛び込んできた勢いのいい声に、作業の手が一瞬止まった。しかし…

まもるもの

帝国if こーはくさんのツイートを掘り返してングッとなったので これのつづき 「今日ばかりは延期していただくことはできませんか」 いつもの場所、いつもの仕事、いつもの相手に言われた突然のイレギュラーに、スウィフトは書類…