雨雲と細波

通り魔のアレコレのさいしょのやつ 書きたいトコだけやって満足した 「——またか」 リムサにしては珍しく、しとしとと控えめな雨粒が水面を叩いていた。波音に混じる奥ゆかしい雨音を聞きながら足元の水面を見下ろし呟くと、傘を差し…

ごむまりララフェルと裏帳簿

リムサについてからちょっとしたぐらいのころ ぽぽちゃんにはいつもお世話になっております 「おはよう!! 今日もかわいいねえ!!」 勢いよく開け放たれた扉と一緒に飛び込んできた勢いのいい声に、作業の手が一瞬止まった。しかし…

とある新人の場合

モブ視点 悩み事を相談しに来たよ エタバン後  小隊の隊長は怖いと聞いていたがまさかここまでとは思わなかった。 扉越しでも聞こえてくる罵声に怒声、さらには何かを蹴り飛ばすような音すらする。内容はよくわからないが、無茶な任…

これのつづき なんかこう……な……わかれよ……  バイザーを外し、現れ出た額に唇を寄せる。擽ったそうに顔がしかめられたが掌が飛んでくることはなかったので、膝から下ろして沙汰を待つことはしなかった。大人しい身体を横座りに載…

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小話 なんもねえ 魚食いてえなって思った 「……ぁあああ無理! 泳ぐ!」「ア!?」 突然だった。黒渦団の船を大甲士の名前と肩書きにものを言わせて借り受けて、誰も人の来ない沖合まで走らせて海釣りをしながら、釣果を捌いては食…

戦場の冒険者

南方ボズヤ戦線にて モブがいろいろする ちょっと痛い  手に伝わる感触は今までで一番生々しかった。 一瞬髪の毛が擦れる触感に硬いものを砕いた感覚、そして中途半端に柔らかい手応えが、短い悲鳴とともに手から脳へと伝わってくる…

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幼児退行を諦めない こーはくさんいつもありがとうございます  義理の兄からの連絡だったからついつい取ってしまった。取った瞬間「やっちまった」と思ったが、話を聞いて「しまった」と血の気が引いた。珍しく詰めていた執務室から飛…

大闘佐の提案

迦陵頻伽ちゃんのあとのはなし スウィフトさんのおもいつき  過保護である。 スウィフトから出る感想はその一言に尽きた。自分も小さい頃近い扱いは受けていたような気がするが、それにしたって過保護である。相手が怪我人で、目もま…

星の鏡にて

迦陵頻伽討滅戦後の分岐 スウィフトさんが起床に間に合わなかった場合 なおくっついていない 「なあ、知らねえか」 今日何度目かの言葉を目の前で漂うものに投げかける。だが、焔とも綿の塊ともとれる淡い色のそれは、その問いかけに…